「森の幼稚園」の卒園児の体力・運動能力の推移
2016
本研究では森の幼稚園を卒園した小学生(1~5年生)を対象に,小学校で行われる新体力テスト(8種目)の結果を質問紙で問い,その結果をまとめることで,森の幼稚園を卒園した小学生の体力・運動能力の推移を明らかにした。2010年度から2014年度までの卒園児162名を対象に,5年間分,通算293名分(同一児童のデータが異なる学年でカウントされている)のデータを収集した。その結果,入学後1年から数年の時点では森の幼稚園の卒園児は体力・運動能力が全国平均よりも高いが,学年が上がるにつれて平均的な成績になるという傾向が現れた。これは,久原ほか(2015)で提起された,森の幼稚園の卒園児の体力・運動能力は小学校入学後すぐには平均的であるが,数年を経てから平均よりも高くなるという仮説とは相反する結果であった。本研究では,特に1,2年生時点の平均値において,前出の久原ほか(2015)の3倍以上の標本数となっており,より信頼性の高いものであると考えられる。今後は,中・高学年においても標本数を増加させて,より信頼性の高いデータから,森の幼稚園の卒園児の体力・運動能力の推移を明らかにする必要がある。
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