Expectations toward the care service and the medical service for elderly in Japan

2012 
目的:私どもは,活力ある長寿社会の実現に向けた各種の研究を推進するための基礎資料とする目的で,全国各地域で定年退職後も健康状態を保持して自立した生活を営んでいる60歳以上の人々を対象に「生活に関する実態調査」を行った.対象と方法:14項目の質問項目よりなる調査書を作成した.全国より100地点を選択し4,000名を調査対象とした処,男女合計2,370名の回答(有効回収率59.3%)が集まった.調査対象の年齢区分を4群(1.60~64歳,2.65~69歳,3.70~74歳,4.75歳以上)に分け,各回答項目の集計に次いで多変量統計解析法を用いて分析し検討を行った.結果:主な集計結果は,配偶者との同居率は女性群の4群では男性群の2倍強の減少を示し,それに伴い同率の独居率の増加が見られた.主観的な健康感は1群をピークに徐々に減少し,3,4群になると健康不良を訴える人が倍増していた.各年齢区分の判別に寄与する因子を分析した結果,健康と経済に関する項目と社会参加に関する項目が主な判別因子として抽出された.経済的不安は1,2群に強く,特に,将来への生活不安は同年齢区分の男性群より女性群に約2倍強い傾向を認めた.社会貢献への意欲は,1,2群の女性群に高い傾向を認めた.全年齢区分についての正準相関分析では,男性群の健康不安と体力不安の重み係数はそれぞれ1.95,2.52,一方,経済的不安と将来への生活不安ではそれぞれ-1.97,-1.70を示し,これらの4項目に大きな変動を認めた.女性群も同じ傾向であった.回答者個人と高い相関性を示した項目は,年齢の低い方から「健康状態」「気力・体力」「社会貢献への意欲」「睡眠の状況」「余暇活動」「家族との同居」「健康への不安」「体力への不安」の順に重み係数の増加する序列が見られた.男女差はなかった.変動の大きかった4項目について全回答者個人の重み係数の平均値を求めてそれらの相対的変動の様子を年齢区分の順にグラフに表して観察した処,70歳未満の1,2群では経済的不安と将来への生活不安が強く,70歳以降になると健康不安と体力不安が徐々に台頭して来る傾向が見られた.結論:今回の調査から,高齢期に生きる人々には,全年齢区分を通じて,経済および健康に関する各種の不安が様々な様相と程度を伴いながら関与し,やがて,それらが高齢者の心の緊張の増大をもたらして,心の健康,体の健康,更に活動意欲全般を衰退へと導く主要なマイナスの背景因子となって影響力を発揮してくる過程の存在が推察された.
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