The Behaviors of Inorganic Sulfur Compounds during Oxygen Bleaching

2012 
通常,酸素晒ではアルカリ源として,蒸解用白液を酸化した,酸化白液が使用される。これは,以下の二つの理由による。一つは,蒸解白液をそのまま酸素晒に使用すると白液中のSH-が酸素と反応し,酸素晒効率を落としてしまうためであり,もう一つは,酸素晒後の廃液は蒸解黒液と共に回収し,蒸解白液として再生するので,白液中のNa/Sを維持するためには苛性ソーダのようなアルカリを使用するよりも酸化白液を使用したほうが有利だからである。一般的に,酸化白液は蒸解黒液などの触媒存在下で常圧空気酸化をしてSH-をチオ硫酸イオン(S2O32-)に酸化する方法で製造する。酸化白液中のS2O32-は酸素晒条件では安定であり,酸素晒性に悪影響を与えないと考えられていたためである。ところが,最近になって,S2O32-が,酸素晒時に酸素を消費し脱リグニンを阻害している可能性が指摘され,実際に酸素晒後にS2O32-量が減少することも報告されている。逆に,高温高圧条件下で白液を酸化して,予めSH-を硫酸イオン(SO42-)まで酸化しておけば,酸素晒効率が向上し,苛性ソーダ使用時と同等以上の効果が得られることが報告されている。本研究では,酸化白液中の無機硫黄分が酸素晒時にどのような挙動を示し,それが酸素晒の効率にどのような影響を及ぼすか調査した。具体的には,無機硫黄分の定量法の検討,実機酸素晒での無機硫黄分の挙動調査,酸素晒におけるチオ硫酸イオンの影響とチオ硫酸イオンの酸化反応に及ぼすパルプの影響を調査し,チオ硫酸イオンの酸化が酸素晒性に与える影響を調査した。結果,以下に示す知見が得られ,可能性が示唆された。1)酸素晒においてS2O32-は安定ではなく,SO42-に酸化される。2)酸素晒時のS2O32-の酸化にはパルプ・リグニンの存在が必要である。3)酸化白液中のS2O3 2-の酸化によって,酸素晒時にパルプに添加した酸素の約15%,アルカリの約20%が最大で消費されている可能性がある。
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