『日本書紀』における「舒明紀」の記述方法―漢籍との関わりを視座として―

2020 
『日本書紀』全書は「漢字」で表記され、漢文の文体、文字の潤飾、中国の典故などが用いられている。漢籍からの影響が『日本書紀』の形成には重要な意義を有しているのが言うまでもない。本稿は、『日本書紀』における漢籍からの影響.受容を考察する作業の一環として、遣唐使から齎された日本古代の「近代化」に密接な関わりのある舒明天皇に焦点を当て、漢籍との関わりを視座とし、『日本書紀』「野明天皇紀」(以下、「舒明紀」と略す)の記述方法を探る試みである。本稿の考察を通して次のようなことが分かる。すなわち、「舒明紀」を大きく見れば、(一)即位の経緯(二)内政と外交(三)天変地異、この三つのパートからなるが、この三つの部分を通じ、東アジアの国際社会へ積極的に進出する、徳のある君主像が描かれ、舒明天皇が励んでいた「小中華思想」も語られ、さらに「天人感応」の思想示唆されているのである。このことからも、「舒明紀」の記述方法は中国の思想、漢籍の表現に深く関わっていることが窺える。
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