α, τ, 及びβ型無金属フタロシアニン微粒子の3重項励起子の動的挙動

1990 
新しい形のマイクロ秒時間分解赤外分光計を製作し, これを用いて, α型, τ型, 及びβ型の無金属フタロシアニン (H2Pc) 微粒子の3重項励起子の過渡赤外吸収スペクトルとその減衰挙動を調べた. 3重項励起子の減衰曲線を観測したところ, 1次と2次項の和で説明することができ, H2Pcの3重項励起子は1分子的な項間交差と2分子的な3重項-3重項消滅 (T-T消滅) により緩和することがわかった. α型では, τ型やβ型に比べ3重項励起子の寿命が短く観測された. この現象は, α型では3重項励起子の拡散距離が長く, T-T消滅による3重項励起子の緩和が加速されているためと解釈できる. 3重項励起子は隣接分子間の電子交換で拡散するから, 今回の実験結果から, α型では分子間電子移動が容易であることが結論できる. 今回観測された結晶型による電子移動の挙動の違いを, 結晶構造 (特に積み重なったH2Pc環間のπ電子の重なり) や暗導電率と関連づけて議論する.
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