An Autopsy Case of “Fungus Ball” Type Pulmonary Aspergillosis Complicated with Direct Invasion of Thoracic Aorta and Systemic Dissemination
1986
58歳,男性で,左肺上葉の結核性陳旧空洞内アスペルギルス菌球より,アスペルギルスが,その肺と線維性癒着した胸大動脈壁を侵襲し,そこから全身播種したアスペルギルス症の剖検例を報告した.既往に20年来の肺結核があり,抗結核剤を長期間投与されていた.昭和53年10月,右足第1,2趾の痛みが出現し,次第に壊死に陥ったため,昭和54年2月に入院した.入院時,栄養状態不良で微熱があり,左肺が荒廃しており,貧血,白血球増多,血沈亢進が認められた.3月中旬,一過性に血痰があった.3月下旬,腸間膜動脈閉塞症が起こり,小腸の広範囲切除術を受けた.術後黄疸が出現し,4月2日,突然大喀血を起こして死亡した.剖検時,左肺上葉には凝血塊の付着したアスペルギルス菌球を容れた陳旧性空洞があり,縦隔と線維性に癒着していた.この空洞の後下端部近くには,アスペルギルスによる膿瘍で囲まれた胸大動脈瘤が認められ,それらは一部で交通していた.胸大動脈より末梢の動脈系にはアスペルギルスの菌糸を含む血栓が多発しており,脾,腎の貧血性梗塞を伴っていた.菌球内のアスペルギルスが,肺と線維性に癒着した大動脈壁を直接侵し,そこから敗血性塞栓が末梢流域に散布され,最後に胸大動脈瘤が左肺上葉の空洞へ穿破して大喀血により死亡したものと考えられた.
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