Limbic encephalitis in the course of testicular lymphoma

2010 
症例は46歳男性.発熱の遷延と頭痛,全身倦怠感を主訴に2007年1月,当院内科を受診.不明熱精査のため入院した.精査したところ,4カ月来の右陰嚢内容の無痛性硬結腫大の訴えがあり,当科を受診した.CT所見にて右傍大動脈リンパ節の腫脹を認め,右精巣腫瘍(Stage II)と診断し,右高位精巣摘除術を施行した.病理組織所見において,Diffuse large B cell lymphomaと診断した.CHOP療法,ステロイド治療を開始したが,術後第7病日頃より,呂律障害,眼球運動障害,体幹失調などが出現.さらに記憶障害や性格変化も生じた.これらの症状より精巣悪性リンパ腫による傍腫瘍性神経症候群と診断した.悪性腫瘍患者においては様々な神経障害を呈するが,そのうち腫瘍の直接浸潤や転移,二次的感染症,代謝障害,血管障害,治療に伴う副作用などによらない自己免疫的機序を介して生じた一連の神経症状を傍腫瘍性神経症候群と称する.傍腫瘍性神経症候群では,腫瘍細胞が神経組織に交差反応する抗原を発現し,それに対して生じた免疫反応が神経組織を攻撃する機序が考えられており,病型により各種の抗神経抗体が検出されるとされている.病勢や進行度とは無関係であり,悪性腫瘍を治療しても症状の改善がみられないことが多い.今回,我々は傍腫瘍性神経症候群のひとつである傍腫瘍性脳炎を呈した精巣悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.
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