Quantitative analysis of aortic calcification using CT scan in hemodialysis patients

1984 
血液透析患者に病腎のCTスキャンを施行する機会がふえるにつれ, 大動脈の石灰沈着が目につくようになった. 我々は透析患者にみられる大動脈の石灰沈着の頻度・部位を正常者と比べ, さらに腎内石灰沈着との関係を検討してみた. 我々の施設の透析患者144例および対照者226例について, CTスキャンを施行し臍の4cm上から上方8-10cmの範囲内での大動脈石灰沈着を定量的に評価した. すなわちスライス上の大動脈を12分割し, 石灰沈着の広がりを1分割1点として算出した. その総点数をスライスの枚数で除し, 10倍したものをAortic Calcification Index (ACI) とした. その結果, ACIは年齢とともに増加するが, 透析患者では正常者に比べ約20歳早く石灰沈着が出現・進行していた. しかし血液透析期間との間には関係が認められなかった. 石灰沈着の出現部位は対照と同一であるが透析患者では程度が強く, 全周性となる傾向を示した. ACIは血液透析開始5.6ヵ月前0.83, 透析1年目2.50, 2年目5.98であった. また20-40代の60例を約3年間にわたって経過を追ってみたが, ACIには有意な増加を認めなかった. 腎内石灰沈着は年齢よりも血液透析期間とともに増加した. 透析患者の動脈硬化をみる目的で, 腎移植受腎者20例の腸骨動脈の組織検査を行ったところ, 内膜に3例, 中膜に1例, 両方に1例石灰沈着が認められ, アテロームが4例にみられた. 以上より大動脈石灰沈着には粥状硬化の要素が加味されていると考えられる. 血液透析患者にみられる大動脈の石灰沈着の発生は, その出現程度が血液透析患者に強く, 血液透析期間の長さによらないなどの点から, 血液透析前ないし導入直後に主として起こる可能性がある. しかし同一例におけるfollow upが十分でなく結論は出せなかった. 本研究より, 血液透析患者は正常者に比べ20数年早く大動脈の加齢現象が出現するといえる.
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