Radicality and QOL of Adenoid Cystic Carcinoma invading the Upper Jaw intraosseously with Lung Metastasis.

1995 
34歳女性の左側口蓋粘膜に発症した腺様嚢胞癌を経験した。その初回来院時は, 他院処置後の当該部歯原性炎症の処置の依頼であって, その処置を遂行することによって, 症状は軽快治癒した。口蓋部にはび慢性腫脹が残されたが, これに対する次回の当科での検索処置まで6年余が経過し, 本腫瘍の治療に当たって大きな困難が経験された。本例は, 2回目の初診後, 生検確定診と共に肺転移巣の存在が疑われ, 腺様嚢胞癌T2N0M1 (T2bN0M1, 岡部提案) の診断が確定された。その主治療は初め3者併用療法によったが不充分で, 上顎左半側広範切除・D-P皮弁再建を行った。本研究では, 患者のQOLを考慮する立場から, 原発巣に対する治療方針・切除範囲, 胸部肺転移巣の処置などにおいて, 患者と主治医の立揚から多くを思考した。特に, 腺様嚢胞癌のもつ生物学的特性と対比して, 患者のQOLを考え, informed consentに格段の考慮をなすべき諸課題を見いだした。主治療の結果, 菲薄化した上赤唇左側を過剰となった皮膚組織を利用してcomposite skin graftを行い, 患者の機能的並びに美容的障害を回復した。これは, 患者の退院後のQOLに大きな役割を果たしたものである。当報告症例は現在, 腫瘍治療手術を開始してから, 3年6か月余を経過し, 家庭・社会生活に復帰している。
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