Use of honorifics in all situations by a patient with semantic dementia

2011 
常同的な敬語使用がみられるようになった一例の意味性認知症患者を報告する.症例は72歳の男性で,64歳の時に意味性認知症と診断されている.初診時より意味記憶障害による言語の表出・受容の障害と同時に,時刻表的行動や食べ物に対する認識の低下・行動障害も見られていた.本例において非常に特徴的であったのは言語能力の著明な低下に伴って敬語の使用が常同化したことにあった.敬語使用は他人だけでなく幼少の孫を含む家族に対しても常にみられている.意味性認知症患者が敬語を常同的に使用することの必要十分な要件を抽出することは必ずしも容易ではないが,本例に残存している敬語表現の使用を状況や場面に応じて使い分けることが障害された結果とも考えられ,またその背景として前頭側頭葉変性症で見られる可能性があるとされる温和化,静穏化という感情・情動の変化が発話行為にも反映されているのではないかと推察した. 本例はデイサービスでのタイムスケジュールの中では時刻を気にせず安定して過ごすことが出来ていた.意味性認知症患者へのケアについて定まったものはないが,本例での経験はデイサービスの利用とケアについて参考になるところが多いと思われた.
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