DISCUSSION ABOUT ACUTE APPENDICITIS IN PSYCHIATRIC PATIENTS
2004
精神障害者の一部では精神症状や向精神薬の影響で身体疾患の発見が遅れることがある.急性虫垂炎についても診断の遅れから,臨床所見も様々に修飾されて来院する場合が少なくない.今回都立松沢病院で急性虫垂炎の手術を受けた精神障害者80例を対象とし,また友愛記念病院で急性虫垂炎の手術を行った一般患者95例をコントロールとして両群の臨床像や病理所見を比較検討した.主訴は両群とも右下腹部痛が多いが,精神障害者群の方が多彩な症状を訴えていた.発症から手術までの期間は精神障害者群で長かった.精神障害者群では一般患者群に比べ,全身麻酔による手術例が多く,開腹方法をみると交差切開が少なく傍腹直筋切開や正中切開が多かった.精神障害者群では術後合併症を有する症例も多くなっており,診断の遅れから進行した症例が多いことに起因すると考えられた.早期診断には日常生活での変化に気を付け,異常を見逃さない注意が必要と思われた.
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