Studies on Metabolism of Adipose Tissue-I

1973 
肥満は, 脂肪細胞の大きさの増大, または脂肪細胞の数の増加, あるいはその両者によって発現するが, それぞれの場合に, その代謝面で異なった態度を示すと考えられる. そこで, 脂肪細胞の大きさと数との関連から, 脂肪組織の代謝や肥満者の代謝の研究を行なうことは興味深い.著者らは, Bjorntorp らの方法を一部修飾して, 脂肪細胞の大きさに関する測定法を検討した. 手術時または針生検にて採取した脂肪組織を, 短時間 formaldehyde で固定したのち, 凍結切片を作製し, 生理的食塩水中に浮遊させ, 光学顕微鏡下で脂肪細胞の最大直径を測定した. 血管周囲には, 小さい脂肪細胞が集合しているので, かかる特殊な部分を除外した区域につき, 選択をさけ, 連続的に100個の細胞を測定した. その結果, 脂肪細胞の直径は, ほぼ正規分布を示し, 直径計測についての測定誤差は, 平均7.2%であった. 本法は少量の脂肪組織で測定できること, 経費が比較的安くすむこと, また実際的に臨床応用も可能で, すぐれた測定法であると考えられる.本法を応用して, 15例につき, 外科手術時, 腹壁皮下より得られた脂肪組織について, 脂肪細胞の大きさを測定した. 比体重と脂肪細胞の大きさには, 1%以内で有意な相関が認められた. この関係は, 60才を超えた群と60才以下の群に区別しても同様であった. しかし, 全体として正の相関を示すにもかかわらず, 同程度の肥満度を示す例の間に, 脂肪細胞の大きさに著明な差を認めた. 同程度の肥満度の場合, 幼少時より肥満傾向にあった例は, 成人に達してから肥満した例に比較すると, 脂肪細胞が小さいという傾向が認められた. このことから, 前者は後者に比較してより多くの脂肪細胞を保有していると推定できる.
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