Prediction of the rate of complications after hepatectomy in hepatocellular carcinoma patients by preoperative assessment of liver damage and H-POSSUM

2009 
近年,肝細胞癌症例の高齢化に伴い,高齢者手術症例は増加傾向にある.それに伴い,術前から様々な併存症を有する症例も増加傾向にある.これら併存症を有する症例をより安全に手術することを目的に当科での肝細胞癌初回手術症例を対象に全身状態,肝局所因子の両面から術後合併症発生の予測を行った. 2002年7月から2008年12月に当科にて経験した肝細胞癌初回手術例131例のうち,何らかの処置を必要とする術後合併症を認めた51例を合併症群,合併症の無い80例を非合併症群として検討を行った. 背景肝機能の単変量解析では合併症群でコリンエステラーゼ,アルブミン,ヘパプラスチンが有意に低く,総ビリルビン,AST,ZTT,ICG-R15値が有意に高かった.多変量解析ではアルブミンが有意な因子であった.腫瘍因子では両群間に差を認めなかった.治療因子では術中出血量に有意差を認め500 g以上が合併症発生の危険因子であった.幕内基準を基に手術適応を決定していること,アルブミンが有意な因子であったことからこれらを含む肝障害度を背景肝機能因子とし,出血量を含むH-POSSUMを全身状態評価・手術因子評価とし多変量解析した結果,肝障害度BまたはC,H-POSSUM合併症発生予測50%以上はともに合併症発生の危険因子であった. これらを用い症例を4群に分類すると,予測術後合併症発生率50%未満かつ肝障害度BまたはCの症例での合併症発生率は60.0%,予測術後合併症発生率50%以上かつ肝障害度Aの症例での合併症発生率は50.0%,予測術後合併症発生率50%以上かつ肝障害度BまたはCの症例での合併症発生率は80.0%であり,予測術後合併症発生率50%未満かつ肝障害度Aの症例での合併症発生率21.6%と比較して有意に合併症発生は高率であった. 標準的な検査で算定できる肝障害度とH-POSSUMの組み合わせにより,肝切除の術前状態を正確に把握し,術後合併症を予測することが可能で,肝疾患以外の合併症を有する症例でも,術前肝障害度AでH-POSSUM 50%未満の症例では安全に肝切除手術を施行することが可能である.
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